2002年発売(GBA)ストリートファイターZERO3↑(アッパー)レビュー

shigehiro2006-04-13

  • PSP版『ZERO3』も出てるのに!?いまさらGBA『ZERO3』レビュー

私は『ストリートファイターZERO』シリーズが大好きである。


小ジャンプ&ダッシュでスピーディーな『KOF』『ギルティギア』のように忙しくなく、通常技の刺し合い、間合いの取り合いが、ツボにはまるのだ。


『スト2』『ストZERO』新作がアーケードで稼動するたび、1、2万は対戦につぎ込んだものである。いまは無きゲーメストムックも買っていた。


ストリートファイターZERO』は、ストリートファイター2の流れを汲む新シリーズとして94年ごろ登場、その後96年に『ZERO2』『ZERO2アルファ』、98年ごろ『ZERO3』、99年『ZERO3アッパー』が登場した。(ややうろ覚え)

ZERO1』では隠しキャラ含め13人、『ZERO2』ではセーラー服格闘家『さくら』を含む16人、PS版『ZERO2アルファ』では『殺意の波動に目覚めたリュウ』『キャミィ』を含む18人。

ところが『ZERO3』『ZERO3↑』で、一挙に33人も登場!最終シリーズだからってやりすぎである。いい意味で。

  • キャラ数以外にもやりすぎている。

ZERO1・ZERO2』ともに、『スト2』であった、通常攻撃の遠・近距離の区別が無かったため、グラフィック容量も少なくてすんだ。(ZERO2のダルシムはあった)


ところが『ZERO3』では復活。一気にグラフィックパターンが倍近くに!

さらに同じキャラでも『X−イズム(シンプル)』『Z−イズム(スタンダード)』『V−イズム(新システム)』という『イズムセレクト』により、微妙に操作・必殺技が違うというこだわりよう。

  • 容量の少ないGBAに移植!?

このやりすぎた『ZERO3』に、新キャラ3人入れてGBAに移植したってんだからとんでもない!ぜってーショボイ移植に違いない!


なぜならGBAはROMカートリッジだから。圧倒的に容量が少ないのだ。

おおまかに言うと、CD-ROMなら500〜600MB以上、DVD-ROMだと3000MB〜4000MB以上容量が使え、メディア自体安価なため赤字は出にくい。

ところがROMカートリッジは容量に比例して値段も上がってしまう。年々安くはなっているが、CD・DVDに比べ高い。せいぜい32〜128MB程度。


GBA屈指の大ヒットゲーム、『逆転裁判』ですら、1〜3のROM容量がまったく同じ(製作者コラム)で、ROM容量制限の厳しさが伝わる。

  • 4月22日追記)GBA-ROMの単位は『MegaBit』、CD&DVD-ROMの単位は『MegaByte』

勘違いしてました。
8bit=1byteなので、GBAのROM容量は、絶望的に少なかったんですね!8倍スゲェや!!(Thx!視聴者さん)

参考→GBAの性能解説〜芸魔の館


長々と話してすいません。ようやく本題です。GBA『ZERO3』のレビューです。


私の主観で述べさせていただくと、『ショボイ移植』予想を大きく裏切られた、神移植でした!GBAでここまでできるというのかッと驚かされました。

  • キャラは小さくなってますが、アニメパターンを98%は再現している!

滑らかなカカト落とし、挑発、さらにキャラの前移動・後ろ移動で歩くアニメーションまで違うこだわりよう!
SFCスト2みたく、弱・中パンチ同じ絵にしたり、斜め・垂直ジャンプ同じにしていません。

アーケードから流用できるPS版とは違い、キャラを小さくしているので、全36キャラ書き直さなくていけません。

  • 『動きの滑らかさ』は『楽しさ』に繋がります。

滑らかさをウリに登場した『プリンスオブペルシャ』ように、滑らかなキャラは動かすだけで楽しいのです。

ただ、そういう『コントローラーで動かしている時』のアニメーションは完全再現してるんですが、キャラによっては勝利ポーズが削られています。

リュウ・さくらなど3パターンあるけど、ナッシュは1つしかない(元々2つしかないが)。

しかしそういうマイナス部分を差し引いても、プラス部分が圧倒的に上回っています。

  • 試合前のキャラ登場シーンも再現されてます。

両手のナックルガードを直すリュウ、コーナーポストから登場するミカ、ドラム缶飛び蹴りのガイ、駆けてくるさくら、高笑いのかりん、サンドバッグを吹き飛ばすバイソン(ボスバトルのみ?)、コートを脱ぐキャミィザンギエフ、などなど、完全に再現してます。

  • 特定キャラ同士の登場演出が80%再現されている

これもZERO3で導入されたんですが、特定の因縁のあるキャラが戦う場合、『試合前演出』があり、これはかなり再現されています。セリフはありませんが。

リュウVSケン、リュウVSサガットアドンVSサガット、さくらVSかりん、キャミィVSベガ、殺意の波動リュウVSゴウキ、ダンVSサガット、CPU戦でのVSユーリ&ユーニなどは確認。


残念ながらガイVSコーディ、ゴウキVSゲン、ガイルVSナッシュなど削られています。

  • 音声の再現度は30%以下・・・?

音声は、もう、思いっきり削られています!スパコン発動時の長い技名発声はほぼ全滅。(一番長い音声は「サイコクラッシャー!」だと思う)それ以外削られまくってます。

ラウンド開始時の、「なんか長い英語セリフ」も無く、基本無音で試合開始します。(『ZERO3』は元々「ファイト!」は無いが)
サガット・かりんの笑い声も無し。大半のキャラは断末魔も無しで寂しい。


それでもキャラごとに爽快感のある声は収録されています!
竜巻旋風脚は無いが『波動拳昇竜拳!』は収録、さくらの『よっ』『はっ』など、短い音声は数多く収録されている。


あと、その代わりというか音声を流用されてるキャラが多いです。
アドンバルログは、「ジャガー!」「ヒョー」は収録されてるものの、ほとんどフェイロンの声が流用されています。(「ホアチャー!」とか「ハイィ!」とかw)

(初代スト2でも、男キャラは全部流用だったんで、一部違うだけマシ?)

圧巻なのは前述の『波動拳昇竜拳』。
技名の違うダンとさくらにまで流用してて、とくにさくらは『ハドーケン!』『ショーリューケン!』とモロに早回しで、笑えてしまう。(まあ無いより・・・無い方がマシ?w)

(個人的にバイソンの「をあー!」が無いのが残念。「をあー!」がバイソンの肝なのに!)


しかし!「ふん!」「はぁ!」と短い掛け声あるだけでも爽快感あります!通常の掛け声無いと、攻撃軽く感じますからね!

フェイロンの『怪鳥音』流用のせいで、オリジナルより気合入ったキャラもいますがw)

  • 効果音はバッチリ

画面転換時ロゴ表示と同時の「ズン」や、攻撃ヒット音、各種攻撃音はバッチリです。GBAは音ショボイイメージありましたが、標準以上です。
効果音は爽快感の肝なので、これも嬉しい誤算でした。
GBAでありがちな音割れが無く、満足です。曲自体削られてるステージも多いですが・・・。

  • 削除されたステージ

リュウステージ(コンビニ・城)さくらステージなど、ステージ曲もろとも削除されてます。(色違いステージで苦心のあとがうかがえる)

<5月8日追記>よく考えたら、コンビニステージはZERO2までだったと思う。

  • 一人用の対CPUパターンが100%再現されてる!

ゴウキの屈み小K→歩き投げ、ゲンの屈み弱P弱K強P立強Kのコンボ、さくらの屈み中P→春風脚、V−イズムでのオリコン発動、また新キャラであるユンも、雷撃蹴を起点とした空中からの攻めなど、CPU戦が非常に楽しいです。

CPUレベルを上げて、GBAで鍛えておけば、アーケードでも通用すると思います。(置いてないけど)
それぐらい完璧に再現しています。私が『神移植』と思う理由の一つです。

  • ストーリーモードの再現度は10%?

キャラ選択後のキャラ紹介はあるものの、中ボス&ラスボス戦のセリフが無い(出現順序は再現されてる)。

エンディングもほぼ全キャラ共通のようで?とりあえず新キャラ3人のエンディングは同じでした。(唐突にナッシュがベガ基地爆撃して終わりw)


やはり容量の都合でしょう。製作者の無念さが伝わってきます。一部のキャラにあるみたいですが(殺意の波動リュウは独自エンド確認)全キャラ確認したら追記します。


通常の勝利メッセージは再現されてますが、因縁キャラ勝利時のセリフは無いみたいです。


↑なぜか勝利メッセージ時の一枚絵がヘボイです。とくに女キャラ

↑キャラ選択時のは綺麗なのに!

  • 操作性

GBAはA・B・L・Rの4ボタンに加え、A+R同時押し、B+Lの同時押しで再現しています。
A+Rは右手だけなんで大丈夫ですが、B+Lは左の人差し指+右手の親指と、かなり厳しい!

しかし私はよく使うボタンだけ、4ボタンに設定して乗り切りました。
ぶっちゃけキャラごとに『使える攻撃』決まってますから。


たとえばナッシュの場合、中・強攻撃だけで90%事足ります。弱はたまに弱ソニック撃つときや屈み弱Kでの起き攻めぐらいなので、同時押しでも大丈夫です。

さくらの場合、強Pと屈み弱Kが強いので、それらをA・Bボタンに設定。スーパーコンボはA+B使用の簡単コマンドあるのでわりと問題ないです。


パッドでの操作キツイのは当たり前ですが、練習して屈み中Pキャンセル波動拳出せるようになりました。Liteの十字キーじゃなきゃキツイけど。レスポンスもバッチリで、かなり思い通りに出せます。

しかしフーリガンコンビネーションはキツイ。まだ練習が必要か。

焦ってると入力ミスするのはアーケードと同じ。

某レビューサイトで「操作性クソ」って声を大にして言ってる人一体?理解しがたい。


そりゃ通常必殺技にも簡単コマンドが用意されてる『スト2リバイバル』には負けるが(昇竜拳が斜め下+Pで出せる)
その人がゲームに求める、納得のいく操作方法、難易度があるのかもしれませんね。

私のように格ゲーマニアならともかく、まあ万人受けの操作方法じゃないですね、確かに。

  • 変更された操作方法(投げ&受け身)

投げ入力は、アーケードでは中P+中Kでしたが、レバー+強Por強Kになりました。ZERO2以前に戻ったカタチですね。空中投げも同様。


空中受け身は弱K+強P、地上受け身は強K+弱P。
難点なのは、上記ナッシュのように、ボタンコンフィグで弱攻撃を変更してる場合、まったく受け身出せない事です。諦めました(早)。


たとえR+Aで弱Kが出る設定だとしても、3ボタン同時押しでは出せません。

受け身システムの無い、X-イズムがおすすめだ!?

  • 微妙にアーケードから調整されてる?

確認できたところで、V-イズムでのオリコン発動中、屈み強K→屈み強Pが繋がらない、阿修羅螺旋空の発動時にやられ判定ができている。

  • 天国の2VS1、地獄の1VS2

ドラマティックバトルでは、CPUと一緒に、2VS1のバトルが楽しめます。ボコボコです。
逆にサバイバルモードでは、CPUが2体同時相手というマゾめいた戦いもできます。前述の通り、CPUが賢いので2体同時だと、テクでなんとかなるレベルじゃありません。基本挟まれると瞬殺です。(一応バックジャンプで壁を背にする、ゼロカウンターでダウンを狙うとマシだが、死ぬときゃ死ぬ)

  • まとめて

やる気の無い公式ページや、某レビューサイトで悪評価受けまくりですが、『移植作品』ではなく『GBA格闘ゲーム』として見れば素晴らしい出来です。このキャラ数・滑らかさ・ゲームシステム・CPUの面白さ、想像以上です。
(公式サイトで動画配信すれば、滑らかな動きが評価されると思うのですが)


ネットでGBA『ZERO3』レビュー見てみると、『音声が少ない』『キャラが小さい』『操作性が悪い』とか、悪い一部分だけみて「全部クソ」と評価しているように見えます。
確かにその部分は「真実」ではありますが、「真実のすべて」では無いと思います。

DVD-ROMなら丸ごと入れればすむのに、ROMカートリッジの限られた容量で『何を収録し何を削除するか、一番面白く残せるか』との製作者の意思が伝わってきます。


ROMカートリッジならではの『ロード時間の無さ』も大きなメリットです。

先にGBAで発売していた「スト2Xリバイバル」の完全移植に劣る、との意見もありますが「リバイバル」はキャラが17人だけだしスパコン専用ボイスは元々ありませんので、一概には比較できないと思います。

音声やストーリーは削れたものの、効果音・攻撃エフェクトなど「動かせる爽快感」の部分を高いレベルで再現した良作。

「肉を切らせて骨を絶つ」みたいな、芯がしっかりした作品です。


ZERO3マニアならマニアなほど、『ゲーム性の再現』に感動するかと。
格ゲーは『キャラクター性』も大きな魅力なので、音声・ストーリー削除の気になる方には耐えがたいかと思います。
(私は全キャラボイスを暗記しており、脳内で再生しているので問題ないがッ)

お金ある人なら、最新作のPSP版『ZERO3ダブルアッパー』でいいんですけどね!完全移植+α。


それでも、Liteでの操作性はバツグンで、長く楽しめそうです。このレベルのZERO3がLiteで遊べて、オレはなんて幸せなんだ・・・w

  • 思い入れが深い作品なので、ついつい長文になってしまった・・・

しかもまとまり無い文章!書きたい事いっぱいあるからって、せめて2・3回に分けるべきだったか。
読んでくれた方、ありがとうございます。

ストリートファイターZERO3↑ (アッパー)

ストリートファイターZERO3↑ (アッパー)